322 カリウワア. 半神カマプアアが-- (9.王の鶏を盗む)

(前回からの続き)

カマプアアが王の鶏を盗む

あるときカマプアアは、鶏(にわとり)を何羽か盗みました(*1)。

その鶏は、当時オアフ島の王だった、オロパナが飼っていたものでした。
カネオヘに住んでいた王は、泥棒を捕らえようとして、何人かの家臣を送りました。


家臣たちは、首尾よくカマプアアを捕らえると、太い紐(ひも)でしっかりと縛り上げました。
勝ち誇った彼らは、カマプアアを王の元に運び始めました。

家臣たちが、笑い者を十分に遠くまで運んで来た、と思ったその時のことです。

カマプアアは、彼を縛っていた紐を引きちぎると、家臣たちの一人を残して、皆殺してしまいました。
そして残った一人には、この出来事を王に伝えさせたのでした。

激怒した王が立ち上がる

王はこの失態に激怒し、軍を総動員して王自身も出征することにしました。
そして彼に刃向かう者を殺すか、そうでなければ、自分の領土から追放してやる、と決意しました。

それ故、今や王は一刻たりとも休もうとしません。

「響き渡るほら貝の音で、目を覚ませ、
故郷(ふるさと)の谷の、腕の立つ戦士たちよ。」

王は戦士たちの先頭に立って、反逆者を探し回ったのでした。


(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 18. Kaliuwaa. Scene of the Demigod Kamapuaa's Escape from Olopana. From "The Hawaiian Spectator", p.193-199.