323 カリウワア. 半神カマプアアが-- (10.王の攻撃をかわす)

(前回からの続き)

王がカマプアアを追い詰める

王の攻撃が成功して、敵方は甚大な被害を受け、平原から追い払われました(*1)。
そしてあの滝に通じる渓谷、カリウワアに追い詰められてしまいました。

王はこの時、「これで確実にカマプアアを捕まえることが出来る。」 と思いました。
いや、王だけでなく誰もが、そう考えたことでしょう。

何といっても、両側にあの巨大な断崖絶壁がそびえ立ち、おまけに、目の前は滝なのですから。

豚に変身して攻撃をかわす

しかしその結末からわかるのは、こういうことです。

「王が戦った相手は、いつもとまでは言わないが、
少なくとも彼が豚に変身した時は、悪知恵が働く奴だった。」

なぜならば、彼はこんな事をやってのけたのですから。

彼はその時、渓谷の一番奥の滝の近くに追い込まれ、もはや他に逃れる道が無いと知りました。
すると彼は突然、豚の姿に変身して後ろ足で立ち上がると、背中から垂直な断崖絶壁にもたれかかりました。

こうして彼は、とても心地良い梯子(はしご)になったのでした。
この梯子を昇ることにより、彼の軍の残存者たちは、王の報復から逃れることが出来たのでした。

このように、彼には絶大なパワーがありましたから、
「兵士たちが逃げる様子から何を学び、彼自身はどのようにして逃げたのか?」
については、容易に知れるでしょう。



(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 18. Kaliuwaa. Scene of the Demigod Kamapuaa's Escape from Olopana. From "The Hawaiian Spectator", p.193-199.