344 旧約聖書の歴史に似た伝説 (10. 3つの系図)

(前回からの続き)

3つの系図

ハワイの伝説によると、最初の人クムホヌアの長男はラカ、次の子はアフでした(*1)(*2)。
そして、ラカは悪い男で、彼の弟アフを殺してしまいました。

「ハワイには3つの相異なる系図があります。
それらは互いにおおよそ一致しながら、最初に創造された人、にまで遡(さかのぼ)っています。

クムホヌアの系図

その第1番目はクムホヌアの系図です。
そこでは長男ラカの家系上に、クムホヌアからヌウ、またはカヒナリイまでを含めて、13代が記載されています。

( セトの家系には、アダムからノアまでに、10代が記載されています。)(N.1)


クム-ウリの系図

第2番目は、クム-ウリの系図と呼ばれるものです。

こちらは最高位の首長たちの間で、ごく最近まで、最も権威あるものとされていました。
そして、その内容を一般の人々に教えることは、タブーでした。

この系図ではラカの家系上に、フリ-ホヌアすなわち最初の人から、ヌウ、またはナナ-ヌウまでを含めて、14代あります。

パアオの系図

第3番目は、パアオの系図というのが適切でしょう。
彼は高僧であり、25代ほど前にピリと共に、タヒチからやって来ました。

パアオはハワイの宗教の一大改革者でした。
そして彼の改革は弟子たちの間で、ずーっと守られ続けています。

ここでは、クムホヌアの一番下の息子カピリの家系上に、クムホヌアからヌウまで、僅(わず)か12代です。」


(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) 丸括弧(まるかっこ)内
丸括弧内は、ハワイ伝説をキリスト教と比較出来るように、キリスト教の場合を追加記載したものです。
各人名を 「キリスト教(ハワイ伝説)」 の要領で対応させて記すと、アダム(クムホヌア)、ノア(ヌウ)、セト(ラカ)、です。


(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 1. Legends Resemblng Old Testament History. By C. M. Hyde, p.15-30.
(*2) Abraham Fornander(1878): An Account of The Polynesian Race, its orgin and migrations and --, Vol.1. p.35, 86-87.