351 旧約聖書の歴史に似た伝説 (17. メネフネの脱出)

(前回からの続き)

迫害から逃れ国を出る

フォルナンダー判事は、旧約聖書に酷似したお話しを、もう1つ入手しています(*1)(N.1)。
それは次のようなもので、ケ-アリイ-ワハ-ヌイの伝説の中の1部分です。

「ケ-アリイ-ワハ-ヌイは、ホヌア-イ-ラロ と呼ばれる国の王でした(*2)。
その王がメネフネたちを迫害し始めました。

そこで彼らの神カネは、カネ-アプアとその兄カナロアを、メネフネたちのもとに派遣しました。
そしてメネフネたちをそこから脱出させ、カネが彼らに与えた地に連れて行きました。

その地は、カ アイナ モモナ ア カネ、または、カ オネ ラウエナ ア カネ、そしてまた、カ アイナ イ カ ㇵウポ ア カネ、と呼ばれていました。

脱出の記念日を設ける

メネフネたちはこの出来事を記念して、カプ-ホアノ(聖なる日)を設けるよう命じられました。

すなわち毎月、月初めの4日間をクーの日と定め、お祝いの儀式を行うのです。
なぜならばあの土地から離れるために、彼らはこのように立ち上がった(クー)のですから。

この儀式に際して、彼らが奉納する物は、豚、そしてヤギでした。

角無しヤギは最近までいた

この伝説の語り手は、次のように解説してくれます。
『かつては角の無いヤギがいて、マライルアと呼ばれていました。

そのヤギたちは、ハワイ島マウナ ロア山の斜面におり、
カメハメハ1世の時代までは、そこで偶然出くわすことがありました。』

お話はまだまだ続く

この伝説は、さらに次のように展開して行きます。
すなわち、メネフネたちはホヌア-イ-ラロの地を去った後、カイ-ウラ-ア-カネ(カネの紅海)にやって来ました。

そして彼らは、ケ-アリイ-ワハ-ヌイ王に追いかけられました。
そこでカネ-アプアとカナロアがロノに祈りを捧げ、ようやく、アイナ ラウエナ ア カネに着いたのでした。」

(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) 酷似 (striking similarity):
ここで言う「酷似」とは、 旧約聖書中の2番目の書 「出エジプト記」、 に酷似していることを示します。
旧約聖書では迫害されたユダヤ人がエジプトから脱出しますが、このハワイのお話しでは迫害されたメネフネが国を脱出します。


(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 1. Legends Resemblng Old Testament History. By C. M. Hyde, p.15-30.
(*2) Abraham Fornander(1878): An Account of The Polynesian Race, its orgin and migrations and --, Vol.1. p.99.