352 旧約聖書の歴史に似た伝説 (18. 太陽を止める)

(前回からの続き)

このままでは日が暮れる

「 有名なハワイの伝説ヒイアカ-イ-カ-ポリ-オ-ペレの中に、次のような場面があります(*1)(*2)。

ヒイアカは、姉ペレが愛したロヒアウの体を、回復させ生き還らせるために、カウアイ島にやって来ました。
しかし、カララウ山の麓に着いたのは、日没の直前でした。


ハエナで友達に会った時に、彼女はこう聞いていました。

『パリ(断崖)を登る頃には、きっと薄暗くなっていますよ。
洞穴(ほらあな)に隠された死体を運び出すにも、暗過ぎるでしょう。』

ヒイアカが太陽を止める

そこでヒイアカは彼女の神々に、こう祈りました。
『どうか私が目的を成し遂げるまでの間、太陽を霧深い小川の上で、止めて下さい(イ カ ムリ オ ヘア)。』

そして、この祈りは叶(かな)えられました。

彼女は山に登ることが出来、また洞窟の監視人たちは彼女に服従しました。
こうして、ロヒアウの体は息を吹き返したのでした。」

マウイが太陽の動きを遅らせる

ディブルの歴史書によると、マウイ-ア-カラナの物語の中に、次のようなお話しがあります(N.1)。
「太陽の動きを遅らせて、1日を長くすることにより、目的を成し遂げる。」


(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) ディブルの歴史書 (Dibble's history):
「ディブルの歴史書」とは、ディブルさんの著書「サンドイッチ諸島の歴史」を指しています(*3)。
彼が言う「マウイ-ア-カラナ(Maui-a-kalana)」 はハワイの大英雄、半神、トリックスターともいわれる存在で、一般的には単に「マウイ」と呼ばれています。
なお、ここで触れている「太陽の動きを遅らせて---」のお話しは、スラムさんの著書「ハワイの民話」(2章 マウイの偉業, 1.太陽を捕まえる) にも掲載されています。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 1. Legends Resemblng Old Testament History. By C. M. Hyde, p.15-30.
(*2) Abraham Fornander(1878): An Account of The Polynesian Race, its orgin and migrations and --, Vol.1. p.100.
(*3) Sheldon Dibble (1843): History of the Sandwich Islands. p.29.