359 旧約聖書の歴史に似た伝説 (25. マルケサス諸島の伝説)

(前回からの続き)

天地創造と神々

天地創造の説明に関連して、フォルナンダー判事はこう述べています(*1)(*2)。

「ヘブライの伝説では神々、すなわちエロヒムは、混沌と同時に、かつまた混沌から離れて存在した、と推察されます。
一方、ハワイの伝説では3大神、すなわちカネ、クー、そしてロノに、彼ら自身を少しずつ進化させて、混沌から抜け出させています。・・・

ハワイの伝承によると、天地創造の順序は次の通りです。
天と地が切り離された後に、そして、海に動物たちが放たれた後に、星が創造されました。それから太陽、その次に月です。」

フォルナンダー判事の問題提起

「創世記の説明はとても真実に近い。」 という事実を暗に示しながら、それでもなおかつ、
フォルナンダー判事は、この事実について次のように問題提起しています。

「現在あるヘブライ語の文書は、より一層古くて広く知られた伝承を、後の世に修正したものだ?」

一方、人間の創造の次に起こる出来事については、ハワイの伝承が最も古いと主張しています。

マルケサス諸島の伝説

「 マルケサス諸島で行われる生贄(いけにえ)の儀式では、聖歌が歌われれました。
そのうちの1曲では、人間の犠牲者が捧げられた時に、しばしば『ナオアウで食べた赤いリンゴ』、・・・そして『アテアのタブーのリンゴ』に、さりけなく言及されました。

そして死、戦争、疫病、飢餓、およびその他の悲惨な出来事の原因は、このリンゴだとされました。
そこで、人々は唯唯(ただただ)、襲いかかる惨事を回避し、また罪を償いたい一心で、人間の犠牲者を生贄にしたのでした。

ハワイとマルケサスの伝説に見られる深い関連性は、両者の起源が共通であることを示しています。
そしてその共通の起源は、聖なる木々、背信、そして追放をテーマにした、カルデアとヘブライの伝説の起源でもある、と考えざるを得ません。」



(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 1. Legends Resemblng Old Testament History. By C. M. Hyde, p.15-30.
(*2) Abraham Fornander(1878): An Account of The Polynesian Race, its orgin and migrations and --, Vol.1. p.68,75,76,82,83.