391 カレレアルアカ(12.カウアイ島へ戻る)

(前回からの続き)

カオペレの目覚め

その子が生後約2ヶ月の時、大空が厚い雲に覆われました(*1)。
そして、ほらあそこに、稲妻と地震を伴った強い嵐が近づいて来ました。


カオペレは深い海の中のベッドで目を覚ますと、両足を縛っていた紐(ひも)をほどきました。
そして強力な腕で水を3回掻(か)くと、海面まで上昇して来ました。

そこでカウアイ島、それからオアフ島の方向に目をやりました。
しかし妻と子への愛に勝(まさ)る者は無く、彼はカウアイ島に誘(いざな)われました。

カウアイ島へ戻る

夜の暗闇の中で、彼は妻のベッドの脇に立ちました。
そして彼女に同情しながら、べとべとして気持ちが悪い手で彼女の額に触れました。

彼女はびっくりして目を覚ましました。
そして彼が名乗り出ると、彼女は恐怖のあまり 「カオペレの幽霊だ!」 と叫んで、両親の元へ走りました。

蝋燭(ろうそく)が灯(とも)されて初めて、彼女はそれが自分の夫だと信じたのでしょう。

義理の両親は恐ろしさのあまり、そしてまた、自分らの冷酷な行いを恥じて逃走し、決して戻りませんでした。

この時以降、カオペレは2度とトランス状態になることがありませんでした。
この彼の素晴らしい美徳は彼の体から出て、少年カレレアルアカに移ったのでした。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N. B. Emerson, p.74-106.