392 カレレアルアカ(13.王を生贄にする)

(前回からの続き)

カレレアルアカの武術訓練

カレレアルアカが10歳の時、カオペレはこの少年に、走る・跳ぶ・投げる競技の訓練を始めました(*1)。
またハワイの島々で実践されている、あらゆる兵法や格闘技を伝授し始めました。

そしてこれらの訓練や伝授は、彼が各々の技で達人の域に達するまで、続きました。

カオペレはさらに、ランニングとジャンプの術も教えました。

その結果、カレレアルアカは、高いパリ(崖(がけ))の上へ跳び上がったり、そこから跳び下りたり出来るようになりました。
さらにまた、水鳥のように、水面上を走れるようになりました。

その後、ある日、カレレアルアカは、ワイルアへ出かけて行きました。
そしてそこで彼は、王族たちの競技会を目の当たりにしました。

この若者は見下したように、「彼らの競技は唯(ただ)の子供の遊びだ。」 と言い放ちました。
この言葉が王に報告されると、王は若者に 「ボクシング競技で会おう。」 と戦いを挑(いど)みました。


王を生贄(いけにえ)にする

カレレアルアカが王の前に姿を表わすと、気高い彼の対戦相手が尋ねました、
「お前は何を賭けるのだ?」

若者は何も持っていなかったので、彼は本気でこう提案しました。
「各々が自分の体を賭けて戦い、勝った方が相手の体を獲得する。」

この提案は2つ返事で受け入れられました。
レフリーが試合開始の合図をすると、両対戦者は相手に向かって突進しました。

カレレアルアカは慎重に王の攻撃をかわしました。
そしてすかさず一撃を与えると、敵はもはや彼のなすがままでした。

その後すぐに、彼は競技の勝者の特権を使って、王の命を奪ったのでした。
そして、全ての人々が驚いたことに、彼はその死体を運び去り、生贄として神社の祭壇上に奉納しました。

そこではこれまで、人の生贄(いけにえ)は奉納されていませんでした。
というのは、この神社は彼と父カオペレが先祖を祀(まつ)るために、この出来事の少し前に建立したものだったからです。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N. B. Emerson, p.74-106.