393 カレレアルアカ(14.2人目の高貴な生贄)

(前回からの続き)

ハナレイの王族を狙(ねら)う

しばらくして、「物凄く力持ちの王族がハナレイにいる。」と言う噂が、カレレアルアカの耳に入りました(*1)。

そこで彼は意図を明かさずに、ハナレイ渓谷に出かけて行きました。
するとその男は、ココヤシの木の幹に向けて、重い槍を投げる競技に没頭していました。


彼は前の場合と同じように、その男の偉業をけなすことで、彼に戦いを挑(いど)ませました。
首尾よくその王族から挑戦されると、彼は恐れること無く 「お互いに自分の命を賭けよう。」 と提案しました。

これが受け入れられて、王族が第1投目を投げました。
彼の槍は巨大な木の幹に命中し、この一撃を受けた巨木は、その一番高い部分さえも揺れたのでした。

2人目の生贄を獲得する

さあ次は、カレレアルアカが槍を投げる番です。

その王族は、自分が勝って若者が負けると予想して、万一に備えました。
すなわち、護衛者たちをカレレアルアカの周囲に配備して、勝負が決まった瞬間に彼を捕まえようとしたのです。

すると我が英雄は命令口調で、その護衛者たちを後ろへ下がらせました。
そして、威嚇するように彼の槍を振り回しながら、槍の端から端までを両手で撫でたり、磨いたりしました。

それから彼は槍を持ち上げて構えると、力強く投げ放ちました。
すると誰もが驚いたことに、見よ! その木は粉々に砕(くだ)けてしまったのでした。

これを見て、人々は若者の豪腕ぶりに、称賛の叫び声を上げました。
そして、「彼はワイアルアで王族を殺した、あの英雄に違いない。」 と断言したのでした。

こうしてカレレアルアカは、彼の神社の祭壇に光彩を与える、2つ目の王族の生贄を手に入れました。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N. B. Emerson, p.74-106.