396 カレレアルアカ(17.不思議な矢プア・ネ)

(前回からの続き)

カレレアルアカが矢を放つ

「これは我々の食物だ。そして、我々が住むには恐らく良い場所だ(*1)。」
とカレレアルアカが言いました。

「しかし、ここにとどまると決める前に、私に矢を投げさせてくれ。

そして、もしもそれがすぐに落ちたら、我々はとどまろう。
だが、もしもそれが遠くまで飛んだら、我々はここには居残らないだろう。」

カレレアルアカは彼の矢を放ち、そして仲間たちは、じっとその様子を見守りました。

矢は幾つもの丘や谷の上を通り過ぎて飛び、遂にはケクアポイの先に落下しました。
一方、彼らはその素晴らしい飛行の行方(ゆくえ)を、目で追いました。

不思議な矢プア・ネ

カレレアルアカはその矢を見つけようと、仲間たちを送り出しました。
それと同時に村々を訪ねて、飲み物用のアヴァの根を手に入れるように言いました。


一方、彼はそこにとどまり、彼らのための小屋を建てようとしました。

カレレアルアカの2人の仲間は、途中で、川の流れでカロを洗っている、沢山の女性たちに出くわしました。

そこで彼女らに、こう尋ねました。
「僕らの矢があちらへ飛んで行くのを、見なかったかい?」

返って来た答えは全く見当違いで、彼女らはその矢の名前を、大声で呼んだのでした。
「プア・ネ、プア・ネ、」

すると直ぐさま、矢は彼らの手元に届いたのでした。
これを見た女性たちは、この不思議な出来事に驚いて、逃げ出してしまいました。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N. B. Emerson, p.74-106.