397 カレレアルアカ(18.コノヒキに助けられる)

(前回からの続き)

カレレアルアカが家を建てる

それから、2人の少年は言われた通りに、アヴァの根を集め始めました(*1)。
しかし、彼らが手に入れたのは、つまらない小片ばかりでした。 

その様子を見ていたのが心優しい老人、後から判ったのですが、彼はこの地のコノヒキでした(N.1)。
彼は召使いたちに命じて、良さそうな食料を山のように、カレレアルアカに送り届けました。

一方、少年たちが戻って見ると、驚いたことに彼らが居ない間に、カレレアルアカは大きくて立派な家を建て終わっていました。
その家は完全に出来上がっており、あとは床にマットを敷くだけでした。

コノヒキに助けられる

心優しいコノヒキがそれに気付くと、直ぐさま召使いたちを差し向け、床に敷くマットとベッド用のカパ布一式を持って来させ、更にこう命じました。
「それと一緒に、マロを幾らか持って来るのだ。」 (マロ:男性用の下着)

間もなくすると、彼らが必要な物は全て揃(そろ)いました。
そこで、3人の若者は家事に取り掛(か)かりました。

コノヒキは、従者たちの中からさらに何人かを加えて、家事に当たらせました。
アヴァを噛んで漉(こ)す者も居れば、山のようなご馳走を調理したり食卓に並べる者も居ました。

3人の若者たちは、大いに飲んだり食べたりしました。


そしてアヴァに酔(よ)った彼らは、原野に群がる小鳥たちの朝の囀(さえず)りで目を覚ますまで、ぐっすりと寝ました。
彼らが目覚めてシャキッとした時、既に太陽は大空に昇っていました。

(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) コノヒキ(Konohiki):
コノヒキは、かつてのハワイの土地支配における基本最小単位アフプアア(Ahupuaʻa)の管理・運営責任者です。各アフプウアの支配者は アリイ(aliʻi)なので、コノヒキは当該アリイの下で、実質的な管理・運営の全てを委任されて実施しました。そして、コノヒキはアリイ階級の人々の中から選ばれました。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N. B. Emerson, p.74-106.