403 カレレアルアカ(24.この男は勝利をもたらす)

(前回からの続き)

あらゆる賢者らを集める

「ちょっと待て、」と王が言いました(*1)。

「そう急ぐな! その男を死刑にする前に、賢者、神官、魔術師、そして預言者たちを招集することとしよう。
ひょっとすると、『クアリイとの戦いに勝つには、その男が必要だ。』と彼らが言うかも知れぬ。」

そこで直ちに、あらゆる賢者、神官、 魔術師、そして預言者たちが招集されて、王がその一部始終を説明したところ、彼らの考えは兵士たちの意見と同じでした。

すると王は再び判断を引き伸ばして、こう言いました。
「待て、私の賢明な神官ナプアイカマオが来るまでは。

もしも彼の意見がお前達と同じならば、そうだ! その時はその男が殺されるままにしておけ。
しかし、もしも彼がお前たちよりも賢ければ、その男を生かしてやろう。

だがそうなると、お前たちは無駄にこの飯を食うことになる。」

この男は勝利をもたらす

こうして王は、最俊足の使者の1人を送って、ナプアイカマオを連れて来させました。

そこで王が彼に言いました。
「お前を呼んだのは、ワイピオの高地に住む2人の裁判で、どんな罰が相応かを決めるためだ。」

それから王は話しを進めて、その出来事の全てをはっきりと、この賢者に説明しました。

これを聞いて、「ケイノホオマナワヌイの望みについては、」と、賢者が答えました。
「あれは罪のない望みですが、無益であり、何の恩恵ももたらしません。」

続いてカレレアルアカの望みの話しを聞いた彼は、頭を傾けて何か考え込んでいるようでした。
そして彼は頭を上げると、王をじっと見つめてこう言いました。

「おお、王よ。この男の望みはそれはそれは大きな志であり、この国に勝利をもたらすものでしょう。
さあ、今こそ民という民を総動員して、家を建てるための材木とアヴァを持ってこさせるのです。」

賢者がこう進言すると、王はすぐさま、この助言者が指示したことを実際に行なおうとしました。
すなわち、王は彼の最高位の武将(元帥)マリウハアイノに命じて、全ての民(たみ)が作業をするように、手配させました。

この後、未だ夜が明ける前、エヴァ地域の全ての男、女、そして子供たち、ものすごく大勢の人々が動き始めました。


(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N.B. Emerson, p.74-106.