(前回からの続き)
その間、マリウハアイノに導かれた一行は、元帥(げんすい)自身が足が不自由なため、ゆっくりと海岸地方に向かって下っていました(*1)。
カレレアルアカはお清めの儀式から戻ると、この一行のすぐ後ろに舞い降りましたが、それまで彼がいなかったことに、誰一人として気が付きませんでした。
暫(しばら)くすると彼は、このうんざりするほど鈍(のろ)い旅に、耐え切れなくなって来ました。
--というのは一日が終わりに近づいて、西に傾いて来た太陽は既に、ワイアナエ山脈のプウクアア山のすぐ上に迫っていたからです。--
そこでこの素晴らしい男は、足の不自由な元帥(げんすい)を片手で掴(つか)み、彼の2人の仲間をもう一方の手で掴むと、彼らと共に空を飛んで、3人をプウロアに降ろしました。
しかし大変不思議なことに、彼らは自分たちが運ばれていたことに、全く気付きませんでした。
それにも拘(かかわ)らず、彼らはずーっと運ばれて来て、この地に降ろされたのでした。
(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N.B. Emerson, p.74-106.