409 カレレアルアカ(30.前代未聞の剛腕)

(前回からの続き)

注意深く私を見ていなさい

この言葉を聞いたカレレアルアカは、足の不自由な男(元帥)をつまみ上げました。そして戦場のマウカ(山側)の丘に彼を降ろしながら、こう言いました。

「あなたはここに残って、私を注意深く見ていなさい。
もしも私がこの戦いで殺されたなら、あなたは我々が来た時と同じ道を戻って、王に報告するのです。」

こうしてカレレアルアカは戦いに身を投じて行きました。
しかし敵に向けて攻撃を始める前に一仕事。カクヒヘワ(王)軍に入らなかった彼を、笑い者にしたり嘲(あざけ)った人々に、仕返しをしました。

それが済むと、彼はいよいよ敵軍との戦いに乗り出しました。
しかしその時、敵が攻撃を仕掛けて来て、王軍は多大な損害を被(こうむ)っていました。

敵の大将を倒す

我らが英雄の武勇は、一体何と比較出来ると言うのでしょうか?
人間があたかも1枚の木の葉の如く、摘み取られ引き裂かれたのでした。

敵軍の兵士たちが動揺したのは、パワー溢(あふ)れる水鳥が両翼で激しく、水面を叩(たた)いた時でした (オ ハエハエ カ マヌ、ケ アレ ネイ カ ワイ)。

カレレアルアカは兵士たちを次々と殺害して行き、遂には、敵軍の王クアリイの脇(わき)に控える大将を殺してしまいました。

その倒れた大将から、彼はフェザー・クロークとヘルメットを奪い、更に、右耳と右手の小指を切り落としました。
こうして、その日の大虐殺は終わったのでした。

カレレアルアカの素晴らしい戦果を目の当たりにして、足の不自由な男の熱狂は刺激され最高潮に達し、戻ったらこう報告しようと決意しました。
「これまで戦場で、彼ほどの男を見たことがない。」


(次回に続く)
[目次へ戻る]

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N.B. Emerson, p.74-106.