410 カレレアルアカ(31.真のヒーローは誰だ)

(前回からの続き)

カレレアルアカがプウロアに戻る

プウロアに戻ったカレレアルアカは、フェザー・クロークとヘルメットをベッドのマットの下に隠しました。
それから、死んだ大将の耳と小指を、壁にしっかりと結びつけると、横になって寝ました。


しばらくして2人の女性、彼の妻たちが、苔と小海老を抱えて戻った時、彼はこう不平を言いました。
「この苔は私の指示通りに集めたものじゃない。それに、君らが随分と長い間出っ放しだったので、全然食欲がなくなってしまった」。

そして彼は、彼女らが持って来た物を食べようとしませんでした。

この彼の態度に対して、姉は何も言いませんでしたが、妹は独り二言三言つぶやきました。
そして、皆とても疲れていたので、まもなくすると彼らは眠りにつきました。

王への報告が割れる

彼らが長い眠りに就(つ)いていたその時、戦闘から戻って来たカクヒヘワの戦士たちの、重い足音が聞こえて来ました。
王はすぐさま、戦いはどうだったか、を聞きました。

戦士たちはこう答えました。
「戦いは成功でした。その中で、ケイノホオマナワヌイだけが、特に目立っていました。」

これを聞いた王が答えました。
「スローベンが猛者(もさ))だと? そんなこと信じられん。だが、足の不自由な男が戻って来れば、本当のことを聞けるだろう。」

真夜中近く、足の不自由な元帥の足音が、王の屋敷の外で聞こえました。

カクヒヘワが彼に呼びかけました。
「入りなさい、戦いはどうなった?」

「少しだけお待ち頂き、私に一息つかせて下さいませんか?」 と元帥が言いました。

そういう訳で一休みすると、彼はこう答えました。
「我が戦士たちは良く戦いました。しかし戦場にはあらゆる戦士に勝る、ずば抜けて優れた男がいました。

その男はワイアナエからやって来ました。
私を運んでくれた褒美として、彼にワイアナエの地を与えました。」

「よし、その地を彼の物にしてやろう。」 と王が言いました。

「彼は人間をずたずたに引き裂いたのです、」 と足の不自由な男が言いました。
「あたかもバナナの葉を引き裂くように、です。

クアリイ軍の大将を殺したのは、彼です。そして大将からフェザー・クロークとヘルメットを、奪い取ったのです。」

「だが戦士たちは、『ケイノホオマナワヌイがその日のヒーローだった。』と言っているぞ。」 と王が言いました。

「何ですって!」 と足の悪い男が言いました。
「彼は何もしませんでした。彼は唯(ただ)気取ってあちこち歩き回っただけです。

しかしこの男---私は未だかつて、この男にかなう者を見たことがありませんでした。

彼は長槍の一つも持たず、唯一の武器は彼の両手でした。
彼を目がけて強く長槍が投げられると、彼はいつもそれを髪の毛でかわしました。

因(ちな)みに、彼の髪と顔立ちは、あなたの娘の夫にそっくりです。」

このように彼らは打ち解けて、夜明けまで話していました。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N.B. Emerson, p.74-106.