(前回からの続き)
そして、「水が上がって来て容器を満たしますように。」 と、はかない望みをかけて、真昼の太陽光線が頭上に直接降り注ぎ始めるまで、水中に押し込み続けました。
しかし彼女らの容器には、ほんの少しの水さえも入りませんでした。
そこで妹が姉に、こう提案しました。
「いつも通りにヒョウタン容器を満たしましょう。カレレアルアカにはその違いが見分けられないでしょう。」
これを終えると、彼女らは家に帰りました。
「これは、汲み上げた水だ!」
若い方の妻は、彼の言葉を聞いて、こっそりと笑いました。
一方、年上の妻は堪忍袋の緒が切れて、こう言いました。
「あなたが言った水汲み方法では、時間がかかり過ぎるんです。
私達は、水を汲んで来る、という退屈な仕事に慣れていないんです。
父は私達に細心の注意を払っていて、いつも召使いが水を汲んで来ました。
そして私達はいつも、その男が注ぎ口を上に向けて、ヒョウタン容器に水を注ぐのを見たものでした。
しかし、あなたは厄介なことに、注ぎ口を下に向けるよう命じました。
あなたの厳しい要求は、どれも情け容赦ないものです。」
彼らはケイノホオマナワヌイの、数々の偉業を誇らしげに話していました。
しかし、王はこう言いました。
「私は、お前らの話しなど一言も信じない。
我が足の不自由な男が戻って来れば、彼が本当のことを話してくれるだろう。
ケイノホオマナワヌイが、戦闘能力の優れたアスリートだなんて、私は信じない。
これが、私が彼について考えた末の判断だ。
しかし、パワー溢(あふ)れる男が1人いる、それはカレレアルアカ ---
万一、彼が戦闘に加わるようなことがあれば、必ずや、彼は奇跡を引き起こすであろう。
これこそが、私が慎重に考えた上での、彼についての判断だ。」
そこで王は、足の不自由な男が戻るのを、夜まで、いや夜明け近くまで一晩中、待ち続けました。
そして遂に足の不自由な元帥が到着した時、王は思慮深く、彼が暫く休んで一息つくまで、彼に問うことを控えました。
その後に王は元帥から、ワイアルアから来た新たな英雄について、何もかも聞きました。
元帥はその英雄の名前こそ知りませんでしたが、彼が王の義理の息子、カレレアルアカに似ていると断言しました。
(次回に続く)
[目次へ戻る]
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N.B. Emerson, p.74-106.
妻たちの水汲みが失敗
二人の若い女性、カレレアルアカの妻たちは、彼女らが言われたように、ヒョウタン水容器の注ぎ口を下に向けました(*1)。そして、「水が上がって来て容器を満たしますように。」 と、はかない望みをかけて、真昼の太陽光線が頭上に直接降り注ぎ始めるまで、水中に押し込み続けました。
しかし彼女らの容器には、ほんの少しの水さえも入りませんでした。
そこで妹が姉に、こう提案しました。
「いつも通りにヒョウタン容器を満たしましょう。カレレアルアカにはその違いが見分けられないでしょう。」
これを終えると、彼女らは家に帰りました。
厳しい夫に妻が切れる
しかし、カレレアルアカはこう言い放って、その水を飲もうとしませんでした。「これは、汲み上げた水だ!」
若い方の妻は、彼の言葉を聞いて、こっそりと笑いました。
一方、年上の妻は堪忍袋の緒が切れて、こう言いました。
「あなたが言った水汲み方法では、時間がかかり過ぎるんです。
私達は、水を汲んで来る、という退屈な仕事に慣れていないんです。
父は私達に細心の注意を払っていて、いつも召使いが水を汲んで来ました。
そして私達はいつも、その男が注ぎ口を上に向けて、ヒョウタン容器に水を注ぐのを見たものでした。
しかし、あなたは厄介なことに、注ぎ口を下に向けるよう命じました。
あなたの厳しい要求は、どれも情け容赦ないものです。」
元帥が王に英雄の話をする
このように、女性達が不平不満を言い続けていると、やがて、戦場から戻って来る戦士たちの、重い足音が聞こえました。彼らはケイノホオマナワヌイの、数々の偉業を誇らしげに話していました。
しかし、王はこう言いました。
「私は、お前らの話しなど一言も信じない。
我が足の不自由な男が戻って来れば、彼が本当のことを話してくれるだろう。
ケイノホオマナワヌイが、戦闘能力の優れたアスリートだなんて、私は信じない。
これが、私が彼について考えた末の判断だ。
しかし、パワー溢(あふ)れる男が1人いる、それはカレレアルアカ ---
万一、彼が戦闘に加わるようなことがあれば、必ずや、彼は奇跡を引き起こすであろう。
これこそが、私が慎重に考えた上での、彼についての判断だ。」
そこで王は、足の不自由な男が戻るのを、夜まで、いや夜明け近くまで一晩中、待ち続けました。
そして遂に足の不自由な元帥が到着した時、王は思慮深く、彼が暫く休んで一息つくまで、彼に問うことを控えました。
その後に王は元帥から、ワイアルアから来た新たな英雄について、何もかも聞きました。
元帥はその英雄の名前こそ知りませんでしたが、彼が王の義理の息子、カレレアルアカに似ていると断言しました。
(次回に続く)
[目次へ戻る]
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N.B. Emerson, p.74-106.