023 神話 マウイが太陽を捕まえる(1.思いやりのない太陽)

数多いマウイの神話

マウイが主人公として活躍する神話は多様です。

ある時はトリックスター(Trickster)として、自然界の秩序を豪快にかき乱します。
例えば、「太陽を捕(つか)まえる」、「空(天)を持ち上げる」、「島を釣り上げる」、などです。

そして、またある時は文化英雄(culture hero)として、ハワイ文化の発展に貢献します。
「火を発見する」、「凧(たこ)を発明する」、などがその例です。


ここでは、初めに「太陽を捕まえる」の神話をご紹介しましょう。
色々なバージョンがありますが、Westervelt(1910) をベースにします(*1)。

太陽が人々を困らせる

マウイは、太陽や月、そして無数の星から成る青空を、天空に投げ放ちました。
そして、それらが落ちて来ないように、しっかりと天空に支えました。

ところが、太陽の動きを見ていたマウイは、大変なことに気付きました。
太陽は東の空から顔をのぞかせ、ようやく青空に姿を見せたと思うと猛スピードで走り抜け、またたく間に西の空の向こうに沈んでしまうのです。

地上に住む人々も、この思いやりのない太陽に困り果てていました。

何よりもまず、太陽があまりにも速いので、昼が短か過ぎて仕事が出来ないのです。
そのうえに、青空で輝く光がとても強いため、地上が熱くなり過ぎるのです。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) W.D.Westervelt(1910): Legends of Ma-ui, A Demi God of Polynesia, and of His Mother Hina;  IV. Maui Snaring the Sun.