025 神話 マウイが太陽を捕まえる(3.マウイが立ち上がる)

(前回からの続き)

困っているのはカパだけじゃない

困っているのは、カパの布地が作れない、マウイの母だけではありません(*1)。
人々が住む地上では、困ったことが幾つも起きていました。

1日が短か過ぎて、毎日の食物をきちんと準備して、調理する時間がないのです。

そして何よりも、神々を讃(たた)える呪文(じゅもん)を、十分唱えることが出来ません。
呪文を唱え始めても、それが終らぬうちに日が暮れてしまうのです。

マウイが立ち上がる

これらの出来事は、人々の日々の努力を無駄にして、その心を悲しませました。
そして、思い遣(や)りの無い太陽に向けて、多くの人から不満の声が寄せられました。

これ以上、つらい思いが積み重なると、意味の無いトラブルが起こる心配もあります。

この様子を見たマウイは、人々を救おうと立ち上がりました。
1日の昼を長くするために、太陽をゆっくり回らせることに決めたのです。



(次回に続く)
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(注記)
(*1) W.D.Westervelt(1910): Legends of Ma-ui, A Demi God of Polynesia, and of His Mother Hina.//IV. Maui Snaring the Sun.