029 神話 マウイが太陽を捕まえる(7.母の教え)

(前回からの続き)

マウイが母に決意を語る

太陽が通る道筋を調べ終えたマウイは、カウイキの丘に住む母のもとに戻って、こう言いました(*1)。
「私が太陽の足を切り落し、早く走れない様にしてやりましょう。」

これを聞いた母は息子のマウイに尋ねました、「お前はそんなことが出来るほど強いのかい?」

マウイは答えました、 「勿論です。」

すると母は息子に、線維をしっかりと撚(よ)り合わせて作った、15本のロープを与えました。
そして、もし他に必要なものがあれば、ハレアカラのクレーターに住む、お婆さんから貰(もら)うように言いました。

母がハレアカラのお婆さんを紹介する

母は続けて言いました。


「それではハレアカラの、大きなウィリウィリの木がある所に行きなさい。

そこには、太陽がひと休みする場所があります。
お前のお婆さんが用意した、バナナを食べるためです。

お前はそこで、雄鶏がコケコッコーと3度鳴くまで待つのです。

そして、お婆さんが外に出て火を起こし、食物をお供えする様子をしっかりと見なさい。
いやそれよりも、お婆さんが用意したバナナを盗むほうがいい。

そうすればお婆さんは、消えたバナナを探すうちにお前を見つけて、
『お前は誰だ?』と尋ねるだろう。

そうしたら、『私はヒナの息子です。』と答えなさい。」(*2)

(次回に続く)
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(注記)
(*1) W.D.Westervelt(1910): Legends of Ma-ui, A Demi God of Polynesia, and of His Mother Hina.//IV. Maui Snaring the Sun.
(*2) ヒナ(Hina) は、マウイの母の名前.