033 神話 マウイが太陽を捕まえる(11.太陽の足を捕まえる)

(前回からの続き)

太陽の光の矢が射す



マウイは、お婆さんの教え通リウィリウィリの木の根の間に穴を掘り、その中に身を隠しました。

それから暫(しばら)くすると、太陽が放つ最初の光の矢が、山の斜面に沿うように射してきました。
そうです、太陽が最初の足を出したのです。



マウイは、その光の矢をめがけて素早くロープを投げ、太陽の足を捕(つか)まえました。

最後の足を捕まえる

その後も、山(クレーター)の縁から光の矢が射す度に、マウイは太陽の足を捕まえました。

そして遂に、最後の1本の長い足だけが、山の斜面に垂れ下がるように取り残されました。
しかし、もはや太陽には、この足を持ち上げる力もありません。

それでも、左右に揺れたり、小さく身震いしたりして、太陽は何とか青空に昇ろうとします。
やがて、それが無理だと知ると、今度は山の端を這(は)うように進みました。

これを見たマウイは、お婆さんにもらったロープを取り出して、この最後の足をしっかりと捕まえました。
こうして太陽は、とうとう16本の足を全部、マウイに縛られてしまったのです。



(次回に続く)
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(注記)
(*1) W.D.Westervelt(1910): Legends of Ma-ui, A Demi God of Polynesia, and of His Mother Hina; IV. Maui Snaring the Sun.