038 神話 釣り人マウイ(2.サンゴ礁に集う)

(前回からの続き)

潮が引くと人々が集う

何百年も前から、地元の人々は、干潮になると海辺に集まって来ました(*1)。
そして、潮が引いて浅くなった海を、歩いたり泳いだりします。


その時は、注意深くサンゴの上を伝って歩き、サメが潛む深い場所を避けます。
サメは人々にとって、恐ろしい敵であると共に、崇め奉る神でもありました。

サンゴ礁のなか(内礁)に残る清らかな水たまりでは、取り残された大きな魚を槍で突いて捕ります。
また、その深海側の縁(礁縁部)では、サンゴにへばりついた貝やエビ・カニなどをねらいます。


サンゴ礁のなか (内礁)

内礁はちょうど箱庭のような世界です。

まるでおもちゃのような、小さな水たまり、岩だらけの谷、そして、急な山などでいっぱいです。
寄せては引く波の動きに合わせて、清らかな海水がサンゴの洞穴(ほらあな)を行き来します。

昔のハワイには、こんな歌がありました。

「決して静まらず、決して止まず、そして、決して眠ることも無い。
それでも少しも騒がしくないのが、神聖な洞穴があるこの海だ。」

(次回に続く)
[目次へ戻る]

(注記)
(*1) W.D.Westervelt(1910): Legends of Ma-ui, A Demi God of Polynesia, and of His Mother Hina; Ⅱ.Maui the Fisherman.