040 神話 釣り人マウイ(4. 神聖な釣り針)

(前回からの続き)

兄弟たちは一流の漁師



マウイの兄弟たちは、マウイよりも漁(りょう)が上手でした(*1)。
彼らはサンゴ礁の外側の深い海に出て、より大きな獲物をねらいました。

神聖な釣り針



彼らは、骨や真珠母(しんじゅぼ)で釣り針を作りました。
それは、細長くて真っすぐですが、先端部分ではU字型に曲がり、その先は鋭く尖っていました。

そして骨や真珠母は、あらかじめ神に奉献されたものです。
ですから、この釣り針には、特異なパワーが授けられているのです。

ひとたび食いつこうものなら、どんな魚であろうと、しっかりと捕えて逃がしません。

通常、これらの骨は、生前に偉大な勢力を誇った人や、高貴な生まれだった人などのものです。
この神聖な骨で、魚が食いつく釣り針先端の鋭い部分を作ります。

一方、釣り針の軸の部分はより大きな骨や貝で作ります。
そして、軸の部分と先端部分とを固く結び付ければ、釣り針が完成します。



マウイを支える骨の魔力

マウイの釣り針の神聖なバーブの部分は、魔法の骨の一部分です。
バーブは「返し」とも言われ、針先端近くで餌や釣った魚が外れるのを防ぎます。
この重要な役割を担う骨の魔力については、下界の祖先たちのお墨付きがあります。

そして、この骨は、神話『マウイが太陽を捕まえる』で活躍しました。
マウイが太陽をロープで捕まえて、太陽を叩いた時も、この骨が使われたのです。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) W.D.Westervelt(1910): Legends of Ma-ui, A Demi God of Polynesia, and of His Mother Hina; Ⅱ.Maui the Fisherman.