042 神話 釣り人マウイ(6.漁師マウイは厄介者)

(前回からの続き)

釣り下手(べた)マウイ

マウイの漁師としての腕は、もう一つだったようです(*1)。

そして、マウイと一緒に漁に出かけた彼の兄弟たちは、こう言います。

「マウイのカヌーの隅にある獲物入れの中身だって、彼が自分で釣った魚だけじゃない。
もともとは、ぼくらの釣り針に食いついた魚が何匹も入っているんだ。
それをマウイの奴がトリックを使って、自分のカヌーに取り込んでしまったのだ。」

マウイは兄弟の厄介者

兄弟たちの中で、いつもただ一人、魚を釣り上げれないのがマウイでした。
マウイはそれを笑われるたびに、「えーん!」と泣いたものです。

そんな時、彼らはマウイと1人の兄弟を残し、次の漁場をめざしてパドルを漕ぐのでした。
一方、残された兄弟はマウイを慰めようと、カヌーをマウイの脇に寄せ始めます。

大物が同時にかかった!

ちょうどその時です。
マウイの近くまで来た兄弟が、大声で叫びました。

「おいマウイ! 僕ら2人の釣り竿を見ろ。 同時に、しかも、すごく大きな獲物が食いついたぞ!
さあ、これからが大事な所だ、頑張るんだぞ!

こら! お前の糸は緩んでるぞ。 気を付けてよーく見るんだ!」

(次回に続く)
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(注記)
(*1) W.D.Westervelt(1910): Legends of Ma-ui, A Demi God of Polynesia, and of His Mother Hina; Ⅱ.Maui the Fisherman.