(前回からの続き)
そして一方では、全力でカヌーを漕(こ)いで前方に突進させます。
漁師たちは大声で叫びながら、お互いに励まし合っています。
そして兄弟の釣り針にかかった大きな魚が、マウイのカヌーのすぐ脇まで近づいたのです。
さあー! いよいよ、いたずら好きマウイの本領発揮です。
マウイは自分の釣り針を、その大きな魚の口先にスルスルーッ と寄せました。
そしてほんの一瞬の間だけ、兄弟の釣り糸を緩ませたのです。
その瞬間、大きな魚は兄弟の釣り針から逃げて、空中に跳ね上がりました。
そして次の瞬間、その魚はひょいっと身をひっくり返すと、マウイのカヌーに入ってしまいました。
マウイはその大きな魚を高くかざして、仲間の漁師たちに見せました。
漁師たちは、若干疑いの目で見ながらも、獲物を手にしたマウイを祝福したのでした。
「おー、我が兄弟よ! あなたの獲物は逃げてしまった。
なぜ、もっと引き続けなかったの? いい魚が掛(か)かっていたのに!
今頃はきっと、海の奥深くまで逃げてしまったに違いない。」
本当の所は、マウイがお得意のトリックで、兄弟の獲物を横取りしたのです。
しかし、兄弟たちに何が出来るというのでしょう?
何といっても、マウイは家族の中で一番賢かったのですから。
(次回に続く)
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(注記)
(*1) W.D.Westervelt(1910): Legends of Ma-ui, A Demi God of Polynesia, and of His Mother Hina; Ⅱ.Maui the Fisherman.
それー、 釣り糸を引け!
マウイは必死の思いで、釣り糸を引き寄せ続けました(*1)。そして一方では、全力でカヌーを漕(こ)いで前方に突進させます。
漁師たちは大声で叫びながら、お互いに励まし合っています。
トリックで獲物を横取り
そうこうするうちに、マウイのトリックにより、2人の釣り糸が絡(から)まってしまいます。そして兄弟の釣り針にかかった大きな魚が、マウイのカヌーのすぐ脇まで近づいたのです。
さあー! いよいよ、いたずら好きマウイの本領発揮です。
マウイは自分の釣り針を、その大きな魚の口先にスルスルーッ と寄せました。
そしてほんの一瞬の間だけ、兄弟の釣り糸を緩ませたのです。
その瞬間、大きな魚は兄弟の釣り針から逃げて、空中に跳ね上がりました。
そして次の瞬間、その魚はひょいっと身をひっくり返すと、マウイのカヌーに入ってしまいました。
マウイはその大きな魚を高くかざして、仲間の漁師たちに見せました。
漁師たちは、若干疑いの目で見ながらも、獲物を手にしたマウイを祝福したのでした。
兄弟の無念を嘆く
その後、マウイの嘆く声があたりに響き渡りました。「おー、我が兄弟よ! あなたの獲物は逃げてしまった。
なぜ、もっと引き続けなかったの? いい魚が掛(か)かっていたのに!
今頃はきっと、海の奥深くまで逃げてしまったに違いない。」
本当の所は、マウイがお得意のトリックで、兄弟の獲物を横取りしたのです。
しかし、兄弟たちに何が出来るというのでしょう?
何といっても、マウイは家族の中で一番賢かったのですから。
(次回に続く)
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(注記)
(*1) W.D.Westervelt(1910): Legends of Ma-ui, A Demi God of Polynesia, and of His Mother Hina; Ⅱ.Maui the Fisherman.