046 神話 釣り人マウイ(10. 創世神話クムリポ)

(前回からの続き)

ハワイ王朝最後の女王リリウオカラニは、ハワイの創世神話クムリポを英訳しました(*1)。



その中で、「マウイの母はマウイを父のもとに送り、釣り針を持ち帰らせた。」 として、次のチャントを掲載しています(*2)。


『  だから、お前の父の所に行きなさい!
-- そこに、釣り糸と釣り針があるから。

その釣り針こそが、天の神のためにしっかりと頑丈に作られ、
マナイアカラニ(Manaia-ka-lani)と呼ばれるものだ。

この釣り針が、ひとたび大地を捕まえると、
海底にあった島々をひとまとめにして、海面上に引き揚げる。

大きなアラエ(Alae)を捕まえて、ここに持って来なさい!(*3)
-- お前の母 ヒナ(hina)が飼っている、あの鳥を。 』

(次回に続く)
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(注記)
(*1) W.D.Westervelt(1910): Legends of Ma-ui, A Demi God of Polynesia, and of His Mother Hina; Ⅱ.Maui the Fisherman.
(*2) クムリポ(Kumulipo)は、ハワイ王家に口承されてきた叙事詩で、日本の古事記に相当する創世神話です。 ここでは、上記(*1)がロイヤル・ファミリーのチャント(family chant)として引用したものを意訳しました。
(*3) アラエは、日本語ではバン(鷭)と呼ばれる鳥です。大きさはハトぐらいで羽毛は黒色ですが、額からくちばしの根もとの赤色が印象的です。