(前回からの続き)
さあ、いよいよマウイとアラエの知恵比べの始まりです。
「水草の茎を2本持って、擦(こす)り合わせてご覧なさい。」
マウイは、アラエが逃げないように監視することも忘れません。
アラエを見張りながら、両手に水草を持って擦り合わせました。
しかし、水草のねじれた茎からは、火が出るどころか、ただ水が流れ出すだけでした。
するとアラエは、「葦(アシ)よ! 葦を擦(こす)り合わせてご覧なさい。」と言いました。
ところが、マウイの葦は折れ曲がって割れてしまい、火が起こる気配すらありません。
すると彼女は苦しさのあまり、必死で叫びました。
「グリーン・スティックよ! 本当は、その枝の中に火を隠したのよ。」(*2)(*3)
これを聞いたマウイは、今度はその枝を手に取って、また一生懸命に擦りました。
しかし、いくらマウイが擦っても、枝からは火の粉の一つも出ませんでした。
(次回に続く)
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(注記)
(*1) W.D.Westervelt(1910): Legends of Ma-ui, A Demi God of Polynesia, and of His Mother Hina; V. Maui Finding Fire.
(*2) 「グリーン・スティック(green stick)」と言う名は、樹皮の緑色に由来します。スペイン語で"palo verde"とも呼ばれます.
(*3) 丸山エミリオ(1997):熱帯樹種の造林特性(9) パーキンソニア, 熱帯林業, No.38 (1997), p.62-65.
さあ、いよいよマウイとアラエの知恵比べの始まりです。
水草だ! いや、葦(あし)だ!
まず始めに、アラエがマウイに言いました。「水草の茎を2本持って、擦(こす)り合わせてご覧なさい。」
マウイは、アラエが逃げないように監視することも忘れません。
アラエを見張りながら、両手に水草を持って擦り合わせました。
しかし、水草のねじれた茎からは、火が出るどころか、ただ水が流れ出すだけでした。
ところが、マウイの葦は折れ曲がって割れてしまい、火が起こる気配すらありません。
グリーン・スティックの中に火を隠した
これを見て怒ったマウイは、アラエが半分死にかける位まで、彼女の首を強くねじりました。すると彼女は苦しさのあまり、必死で叫びました。
「グリーン・スティックよ! 本当は、その枝の中に火を隠したのよ。」(*2)(*3)
これを聞いたマウイは、今度はその枝を手に取って、また一生懸命に擦りました。
しかし、いくらマウイが擦っても、枝からは火の粉の一つも出ませんでした。
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(注記)
(*1) W.D.Westervelt(1910): Legends of Ma-ui, A Demi God of Polynesia, and of His Mother Hina; V. Maui Finding Fire.
(*2) 「グリーン・スティック(green stick)」と言う名は、樹皮の緑色に由来します。スペイン語で"palo verde"とも呼ばれます.
(*3) 丸山エミリオ(1997):熱帯樹種の造林特性(9) パーキンソニア, 熱帯林業, No.38 (1997), p.62-65.