059 神話 マウイが火を発見(7. もう一つの伝説(1))

(前回からの続き)

前回までで、「神話 マウイが火を発見」のお話しは、一通り終わりました。

しかし、他の口承神話と同じように、このお話にも若干異なるバージョンがあります。
以下では、その中の一つをご紹介しましょう。


ハワイ島ヒロの町の丘

ハワイに伝わるもう一つの伝説は、ハワイ島東部の町ヒロ(Hilo)から、少し内陸に入った場所から始まります。

そこは、「ハラエの丘(Halae Hills)」という名で知られています。
小さなクレーターが3つあり、その昔に噴火した跡だと言われています。

そのうちの一番南側、すなわちプナ(Puna)側にある丘は、ポハク・ヌイと呼ばれています。
ポハク(pohaku)は「石」、ヌイ(nui)は「大きい」の意味なので、この丘の名は 「大きな石」です。


神鳥アラエは焼きバナナが大好き

このポハク・ヌイの丘こそが、水鳥アラエ(alae)一家の2兄弟が棲んでいた場所でした。

彼らは神でした。
そして、兄弟のうちの1方には、火を起こす力(パワー)がありました。

実際、このポハク・ヌイの丘で、彼らはよく火を起こしていました。
その火を使って、彼らの大好きな食物、焼きバナナ、を作っていたのです。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) W.D.Westervelt(1910): Legends of Ma-ui, A Demi God of Polynesia, and of His Mother Hina; V. Maui Finding Fire.